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 小さい時が肝心だ      Harukanarutokinonakade3:Kurou×Benkei  2009.05.22 UP
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「弁慶、大好き!!!」
 満面な笑みを浮かべて、小さな白き龍はそう告げた。
 蜂蜜ぷりんを丸ごとあげた弁慶に、白龍が言った言葉だ。
 
 九郎はその言葉に少しムッっとした。…弁慶が珍しく赤面しているではないか。
 そういった言葉を聞いて、弁慶が顔を赤らめるのは自分の言葉だけでいい。
 …子供相手に大人気ないかもしれないが、独占欲を隠せずにいた。
 
 九郎は仲間と認識した者に対しては、感情を隠すことをしない。態度にも出す。
 それが最愛の恋人である弁慶に関することなら尚更だ。
 幼い時からたくさんの大切なものを九郎はあきらめてきた。
 だから今、大事な想い人の事に関しては、誰にも何にも一歩も引かないと決めている。
 
 
 
 
 
 
 「小さい時が肝心だ」
 
 
 
 
 
 弁慶は…裏のない好意を寄せられることに弱いのだ。
 特に白龍くらいの小さい子供の言葉は、邪気がない分余計に胸に沁みる。
 小さい時からその髪の色のせいで、鬼子と言われ、恐れられてきたようだ。
 今も常に、美しい金色の髪を黒い布で覆い隠している。
 白龍は人間ではないから、子供の言葉とはまた違うのかもしれんが…。
 
 
 …いい機会だ。白龍には言っておかねばなるまい。八葉にも。
 今後も同じようにされて、弁慶の心が揺れると困る。
 それしきの事で弁慶の心が俺から離れるとはつゆとも思わないが…。
 しつけは小さい時が肝心だしな。
 
 
 …よし。
 
 
 「白龍、ちょっといいか」
 こっちへこい、と九郎は手招きをした。
 
 「うん!何?九郎?」
 九郎は傍に来た小さな白龍をひょいと持ち上げると、片膝に乗せ顔を覗き込むように目を合わせた。
 そして周りにいる八葉にも聞こえるような大きな声で宣言する。
 「白龍…いいか、よく聞いてくれ。弁慶は俺のものだ。誰にも渡すつもりはないし、手放す気もない。諦めて欲しい」
 
 「「「「「「「「「…………………」」」」」」」」」」
 
 
 相変わらず頭の上に「?」マークがついている白龍をおろし、九郎は弁慶の元へと歩み寄る。
 いつも気配に敏感な弁慶も、この時ばかりは唖然として気づかなかったようだ。
 その細い背中に腕をまわし、緩く抱きとめる。
 そのまま絶句している八葉を背に、弁慶に口付けた。
 
 「愛してる…弁慶」
 弁慶にだけ聞こえるように耳元で小さく囁くと、弁慶が「はい」と返事をするまで、きつくその背中に腕を回して離さなかった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 「…八葉の絆が深まるのはいいこと。だけど、弁慶は九郎のもの?…私、よくわからない」
 白龍がつぶやいた。
 だが、その問いに答えはなかった。
 
 この件があってからというもの、白龍も弁慶にあのような言葉は言わなくなったし、他の八葉は気を使ってくれるようになった。
 やはり、ちゃんと話せば通じるものだ。と九郎は思う。
 そして、やっぱり、しつけは小さい時が肝心だ、と。
 
 
 
 
 
 
 
 END
 
 
  LaLaを読んで、九郎の前でそんなこと言っちゃだめじゃない白龍!(笑)と思ってできたSSです。 
 
 
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