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2.鮮血   (九弁)
 
 戦の時の事だった。
 あまりに一瞬の出来事で、九郎は何が起こったのかわからなかった。
 
 弁慶が九郎の目の前に崩れ落ちるようにして倒れこんでいた。
 
 それと同時に九郎を守るように陣取っていた兵たちが奇声を上げながら、逃げる一人を追いかけていった。
 
 その場に2人残された九郎は、状況が理解できず、呆然と立ち尽くしてた。
 …否…
 何が起こったかは頭の隅でわかってはいるものの、認識したくなく、考える事を止めてしまっていた。
 
 「弁慶…弁慶…?」
 
 まるで寝ているのを起こすだけのように、声を掛ける。
 それでもこちらを向かないから、肩に手をかけ、向かせた。
 
 だらりと力なく伸びる腕。
 血の気の失せた顔。閉じられた睫毛。
 …流れ続けている血。
 
 弁慶
 弁慶…!
 
 先に逝くのか?俺を置いて…?
 触れる鮮血は、まだこんなに温かいのに。
 
 「ああ…」
 眩暈がする…倒れそうだ…。
 
 
 
 
 
 END
 
 
 
  この後多分ヒノエ辺りが助けに来て、何してんだよアンタって九郎を叱咤すると思います。 
 
 
 配布先:0520様
 http://www.cc9.ne.jp/~nagihamu/0520/0520.htm
 
 
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