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 狂想   Harukanarutokinonakade3:Kurou×Benkei 2009.06.19UP
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慶の両親は俺に甘い。"慶の傍にいたい"という我侭をいつも甘んじて受けてくれる。あの一件から、俺を慶の命の恩人だと思っているからだろう。
 
 だが、礼など言われる筋合いなどない。
 俺は自分の大切な人を守っただけだ。
 筋合いなどないが、俺の言うことが殆ど通るのはありがたいとは思っている。
 
 あれから既に2年が経ち、俺は小学3年になり、慶は6年になった。
 …慶は最近前より増して綺麗になった。まだ子供特有のあどけなさは残っているが。
 ときどきその美しさに、俺のほうが驚くことさえある。
 腕の中に抱きしめて、他の誰にも見られないように隠しておきたくなる。
 
 そんな時、俺は突然無邪気に告げる。
 
 「大好きだ、慶。慶が一番好き。一番大事だ」
 
 慶は困ったように微笑んで、はいはいと答える。
 
 いつも本気で言っているんだがな。
 恋だの愛だの、前生ではあまり口にしなかった。弁慶は当然のように傍にいて言う必要がなかったからだ。
 今は違う。言わないと伝わらない。他の事はどうでもいい。こいつだけは離さない。
 
 だが、慶はいつもはいはいと頷く割には本気と受け取ってないようだ。
 子供の言う事と、本気になってくれないのだろうか。
 
 わかっている。
 俺たちは男同士だ。前生ではともかく、今生きているこの世界では普通ではないことなど。
 この世界しか知らぬ慶が、恋愛感情として受け取ってくれないのも仕方ないと…頭の隅では理解しているつもりだ。
 
 だから。
 だから聞けない。俺を好きか?などとは。
 命の恩人だから、何も言えないのではないだろうか。無理強いはしたくないんだ。
 
 慶を他の誰かに渡す気など毛頭ない。
 あいつが俺を好きになってくれるまで、…待つつもりだ。
 
 
 
 
 
 
 俺と慶はいつも共に家に帰る。
 ある日のことだ。慶がまたクラスの女子に呼び出された。
 いわゆる告白という奴だ。
 
 「九郎。ちょっと行ってきます。君は先に帰っても大丈夫ですよ」
 
 「ああ、わかった」
 
 他の用事だったらともかく、居ても立ってもいられなくなった俺は、先に帰ることにした。
 いつも慶と二人で楽しいはずの帰り道も、一人では変な思考に陥ってしまった。
 
 今まで慶はこの手の告白は全部断ってきた。
 だが今度は…と、いつも怯えている。
 
 いつからこんなに弱くなったんだ。俺は。
 弁慶を亡くしたあの時から…だろうか。
 
 
 弁慶は今、俺の傍にいる。生きている。慶となりできる限り共に居てくれる。
 それなのに。
 …それでも。
 それでも時々寂しさがこみ上げる。弁慶のぬくもりが懐かしくなる。欲しくなる。
 遠い昔、弁慶と情を交わすあの時の、狂おしいほどの気持ちが俺を支配する。
 
 弁慶に触れたい。
 仰け反るのど元に唇を落とし、自分の印をつけたい…。
 やわらかくて甘い唇を貪り、俺を求めるあえぎ声を聞きたい。
 弁慶を愛したい。あのぬくもりを全身で感じたい。
 
 
 …気が狂いそうだ。
 
 
 
 
 
 
 
 END
 
 
 
  こんなこと考えてる小学3年生なんてイヤだ(笑) 
 
 
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